学園広報誌「TDU Agora」2023年9月号から特集 IDCロボットコンテスト2023 をご紹介します
未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科
釜道 紀浩 教授
International Design Contest(IDCロボットコンテスト大学国際交流大会、通称:IDCロボコン)が8月6日から19日にかけて、タイのチュラロンコン大学にて開催され、本学から学内選考会で選出された6名の学生が出場しました。
第33回大会ハイブリッド開催
IDCロボコンは、世界各国から大学生を集めて開催されるロボコン国際大会です。創造性豊かな国際的感覚を持ち合わせた学生の育成を目的に、1990年から開催されています。新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、中止やオンライン開催となっていましたが、今年は4年ぶりに対面開催が復活。初めて対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催となりました。
IDCでは、出場する各国の大学はロボットを製作して持ち寄るのではなく、代表学生を選出して大会に送り出します。大会では多国籍の混成チームをつくり、 10日間程度でロボットの設計・製作を行い、競技会に挑みます。提示された競技テーマに対し、英語でコミュニケーションを取りながら、アイデアを出しあい、協力してロボットの設計・製作に取り組みます。
今年の出場国・大学は、日本(東京電機大学、東京工業大学)、タイ(国内競技会で選出された学生)、中国(浙江大学、清華大学、上海交通大学)、韓国(ソウル大学)、シンガポール(シンガポール技術・デザイン大学)、インド(アムリータ大学)、メキシコ(国立工科大学)、エジプト(ミヌーフィーヤ大学)です。対面参加者65名、オンライン参加者26名の計91名が、13チームに分かれてコンテストに挑みました。
今年のテーマは
「Thailand: The Worldʼs Kitchen」
今年のIDCロボコンでは世界的に人気のあるタイ料理にちなんで、伝統料理「パッタイ」の調理をイメージしたテーマ・ルールが設定されました。調理工程はオンラインとオンサイトに分かれており、オンラインではソースの調製をイメージして種類の異なるオブジェクトを棚から取り出していくタスクを実行します。オンサイトでは具材のピックアップと炒め調理をイメージして、2台のラジコン操作ロボットで協調して具材に見立てたオブジェクトを運搬するタスクを実行します。それぞれのタスクで集めたオブジェクトの量(重さ)で勝敗が決まるゲームです。
大会初日にテーマ・ルールが発表され、すぐにチームごとに戦略とロボットの構想が議論されました。インストラクターへのアイデアプレゼンテーションの後、製作が開始されました。終盤は時間を延長して夜遅くまで製作・調整が行われました。
最終競技会は、IMPACT Exhibition Centerで開催されていた科学技術に関する展示・体験イベントNational Science and Technology Fairのメインステージで行われました。一般の観客も多数観戦し、熱戦を繰り広げました。オンサイト・オンラインともに確実に得点を積み重ねたパープルチームが優勝となり閉幕しました。
IDCロボコンは、学生の創造性と国際感覚を養う実践的な経験の場であり、各国の参加大学が協力して実施する国際教育プログラムでもあります。短期間ではありますが、エンジニアを志す世界各国の学生と密に交流でき、大変貴重な経験を得ることができます。コミュニケーションの難しさや、発想の違い、短期間での製作作業など、様々な苦労も経験したと思います。その中で多くの気づきや学び、達成感があったようです。来年はインドで開催予定です。
矢田 絵理奈さん(未来科学研究科 情報メディア学専攻 修士1年)
ロボット製作の経験がなく不安でしたが、プログラム作成でチームを支え、大会ではロボット操縦を担当しました。ベストデザイン賞を頂いたことが一番嬉しかったです。新しい学びや経験が詰まった素晴らしい2週間を体験させて頂きました!
青木 光世さん(未来科学研究科 ロボット・メカトロニクス学専攻 修士1年)
自身と近い専攻の各国から集まった学生と交流し、知見が広がりました。また、英語を学ぶ大切さを改めて感じました。通常の学生生活では味わえない貴重な体験でした。
多田 夏蓮さん(未来科学研究科 ロボット・メカトロニクス学専攻 修士1年)
1番難しかったのは意見を伝えることです。それでも絵と単語で自分の考えを伝え、大会で採用された機構が点数を稼ぐ様子は見ていて達成感がありました。とても貴重で濃い経験となりました。
野口 雄弘さん(工学研究科 機械工学専攻 修士1年)
今まで複数人で設計を行う機会はほとんどありませんでした。この大会を通じて複数人での設計を経験することで、これまで思いつかなかった発想や設計手法を知ることができ、協力の重要性を改めて実感しました。
佐々木 雄太さん(未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科 3年)
この大会を通し、海外の学生の発想力や知識の深さに驚かされました。そんな中、自分の設計を英語で伝え、製作したロボットが実際に動作したときには大きな達成感を得ることができました。
中田 光希さん(未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科 3年)
自分の英語力やアイデア、経験不足を実感しました。上手くコミュニケーションを取れるかが不安でしたが、チームメンバーやスタッフの方々に優しく接してもらい、苦労しつつも楽しく製作することができました。
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