2022年9月 今月の顔 渡邉翔一郎 准教授

2022年9月号から今月の顔、工学部 渡邉翔一郎 准教授をご紹介します

交通電気工学への誘い

~理論と実験、そして産業応用に向けた夢のある研究をしよう~

工学部 電気電子工学科
渡邉 翔一郎 准教授

2017年 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻博士課程修了。博士(工学)。交通安全環境研究所を経て、2020年 本学工学部助教。2022 年9月より現職。電気鉄道の運転理論、自動列車運転制御を活用した省エネルギー技術ならびに技術検証に関する試運転実験に従事。

電気学会から論文賞を受賞

2022年6月に、電気学会から第78回電気学術振興賞 論文賞を頂きました。当該研究を進めるにあたりご指導とご協力を賜りました皆様に、心より御礼を申し上げます。
私が受賞した研究のテーマは「電気鉄道の省エネルギー運転」に関係するものです。自動列車運転装置(ATO)を応用した省エネルギーな列車運転法とダイヤを考案し、実証試験で効果を確認しました。鉄道は、あらゆる交通モードの中でも車両が大きく、秒オーダのダイヤで走行することから「ダイナミックで繊細」な背景があります。そのため、理論と実験の足並みを揃えることが難しく、試運転実験を実施することすら容易ではありません。しかし、幸いにして試運転実験に携わる機会に恵まれ、今回の受賞につなげることができました。この研究で実証した省エネルギー技術は費用対効果に優れ、産業応用が期待されています。

試運転試験での鉄道車両内測定中の様子

電気工学の道へのきっかけ

私が電気電子工学の分野に進んだきっかけは、小学生の時に「電気を使った工作」に興味を抱いたからです。最初は木工工作でしたが、豆電球やモータに出会って電子工作を始め、そこから電気電子工学に出会いました。大学では「大きな電気でダイナミックにものを動かしたい」という気持ちを抱き、交通電気工学を専門的に勉強することになりました。

研究の提案法を実装した自動列車運転装置の取り付け

フィールド実験を見据えた教育・研究活動

交通電気工学の研究ではシミュレーションに終始することも少なくありませんが、私は理論と実験を通じて産業応用につなげたいという気持ちから、フィールド実験も見据えた研究課題を設定しています。これは「ものを動かしたい」という興味の延長なのかもしれませんが、本学の実学尊重の理念や実社会に貢献する工学部としての使命に沿うものと考えています。
私は昨年度に、初めて卒論生を送り出しました。彼らから「フィールドで実験できて楽しかった」という感想をもらったとき、研究に前向きに取り組んでくれた学生に感謝しつつ、充実感を覚えました。これからも面白く楽しいと自然に思えるような研究と教育活動ができるよう尽力してまいりたいと思います。

実証実験前の現地調査の様子
(回転モータではなく、リニア誘導モータ駆動式の鉄道車両

学園広報誌「TDU Agora」Vol.56(2022年9月号) 今月の顔より転載

◆ご意見、ご感想、情報など是非お寄せください。
【編集・発行】学校法人東京電機大学 総務部企画広報担当
120-8551東京都足立区千住旭町5番 
E-mail:keiei★dendai.ac.jp(★をアットマークに換えてください)

関連コンテンツ

その他のコンテンツ