2022年4月 今月の顔 五十嵐 洋 教授

2022年4月号から「今月の顔」、五十嵐洋 教授(学生支援センター長)をご紹介します

私のめざす研究室のカタチ

~恩師の教えからたどり着いた「まとまりのない研究室」~

工学部 電子システム工学科
学生支援センター長
五十嵐 洋 教授

2005年 東京電機大学大学院工学研究科修了 博士(工学)。同年 東京電機大学21世紀COEプロジェクト 専任助手。 2006年 本学工学部嘱託講師。同助教、准教授を経て、2018年より現職。

私は学生時代、とても真面目な学生とは言えませんでした。転機が訪れたのは、3年生終わりの研究室配属で、恩師である故柿倉正義先生との出会いでした。もともと漠然とロボットに興味を持っていましたが、ちょうど配線前のロボットが新たに導入されたタイミングでの入室でした。その後は、ただそのロボットを動かしたい一心で、苦手だった数学や制御、プログラミングを夢中で勉強しました。不思議とそのときの勉強は、苦にはなりませんでした。

柿倉先生は、研究に対して放任主義の方で、私がやりたいよう研究をさせてくれました。同時に「やるか、やらないかは自分次第」という一見、緩そうにみえて、とても厳しい方針でした。私の研究モチベーションは、ただただ面白いから、ということにつきます。大学院生時代は、研究の面白さと苦しさの両方を存分に経験する非常に濃い時間を過ごすことができました。その体験が、私の研究者としての礎となっています。

1年生向け研究室見学会

時は流れ、私も研究室を持つようになりました。私の主宰する「協調ロボティクス研究室」の運営方針の根底には柿倉先生の教えがあります。「研究は、やらされるモノではなく、自らやるモノである」。最も大切なことは、学生自身が自分の研究だという意識をもって、自主的に研究に取り組むことと考えます。そのため、研究テーマは、学生自身の興味や提案に応じて設定するというポリシーを貫いています。その学生自身が生み出した「興味の種」を、世界に通用する研究となるよう、研究室メンバー全員で議論を重ねながら、育てていくスタイルです。

卒業式後の研究室

学生の興味を拾い上げながら研究テーマを作っているので、研究テーマの分野も拡がり続けています。他の研究者からは、「君の研究分野は手広すぎて専門が何かわからない」と褒められます(笑)。本研究室の学生が得意とする分野は、回路設計・ソフトウェアの技術面に加え、制御理論、人工知能、認知科学、生理学などの学問分野まで多岐にわたります。毎週のゼミでは、多様な視点の意見が飛び交い、私自身がとても勉強になっています。一見、テーマにまとまりのない研究室にみえますが、この多様性こそが本研究室の最大の強みだと確信しています。今も、学生時代とはまた一味違う、研究の面白さに夢中です。

コロナ前の研究室歓迎会で(後列左から3人目が筆者)

学園広報誌「TDU Agora」Vol.52(2022年4月号) 今月の顔より転載

◆ご意見、ご感想、情報など是非お寄せください。
【編集・発行】学校法人東京電機大学 総務部企画広報担当
120-8551東京都足立区千住旭町5番 
E-mail:keiei★dendai.ac.jp(★をアットマークに換えてください)

関連コンテンツ

その他のコンテンツ