2022年7月 今月の顔 古屋治 教授

2022年7月号から「今月の顔」、理工学部 機械工学系の古屋治 教授をご紹介します

自然災害から機械をまもる

~未来の構造物の安全技術を研究~

理工学部 機械工学系
古屋治 教授

1996 年 東京電機大学大学院先端科学技術研究科修了 博士(工学)。同年 東京都立産業技術高等専門学校 助手。2002年 Imperial College 客員研究員、2010年 東京都市大学 准教授 、2011年 早稲田大学大学院 客員准教授を経て、2016年より本学理工学部電子・機械工学系 准教授。 2019年より現職。2021年 米国機械学会耐震工学部門Chairに就任。

高加速度振動台外観(千葉ニュータウンキャンパス)

近年、大きな地震が多発していることはみなさんご存じのことと思います。地震は、さまざまな被害を引き起こしますが、そのなかで、発電施設、各種プラント、産業機器、鉄道、昇降機など機械分野の被害は、社会機能の継続性に直結する重要な課題です。しかしながら、現在のところ工学分野では、自然災害を根本的に防ぐ技術はなく「耐える技術」が主になります。もちろん、この耐える技術は、過去の経験、蓄積された専門知見、計算能力の飛躍的な向上などから着実に進歩しています。

高加速度振動での実験状況

本学総合研究所のプロジェクト研究所の1つに耐震安全研究センター(センター長:藤田聡教授)があり、地震国日本における『産業施設及び都市機能維持のための耐震安全性向上に関する研究』を提唱し、当該分野において一線で活躍する学内外の研究者を集め取り組んでいます。2020年には原子力規制庁と共同研究契約を締結し、千葉ニュータウンキャンパス13号館に機械構造物の耐震・耐衝撃評価を目的とした世界最大の加振能力を有する高加速度振動台を設置しました。ここでは、機器の機能・構造損傷の要因となる部位を抽出し、主に短周期領域の振動特性や機能・耐力限界を把握します。
また、当該振動台を用いた研究を推進することで機械系耐震技術者の育成も実施します。その他、私が参加する米国機械学会耐震分野の取りまとめをはじめ国内の重要機器の耐震分野の委員会、研究会の運営に携わる中で得られた経験や知見を授業や研究を通じて学生に還元しています。

学外実験の様子

私が研究者を目指したきっかけは、大学4年の研究室配属でした。藤田聡先生の研究室に配属いただけたことで、博士課程まで、共同研究を通じて藤田先生をはじめ多くの人間力の高い方々と交流させていただき、教育者と研究者の道を希望することとなりました。
私の振動工学研究室では、身の回りの微小振動から地震動まで「耐える」「抑える」「活用する」をキーワードに研究を進め、常に「古きを温(たず)ねて新しきを知る」という考え方で指導しています。そして、私が経験させていただいたように積極的に学外に出て、多くの社会人の方や他大学の学生と実験、議論、交流する機会を持つようにしています。

研究室メンバーとブリヂストンに工場見学

学園広報誌「TDU Agora」Vol.55(2022年7月号) 今月の顔より転載

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