先輩からのメッセージ No.2

E.S さん
最終所属:工学部 環境化学科
卒業年月:平成26年3月卒業
現所属:足立区立中学校
担当科目:数学科

教員を目指したきっかけ・時期

私が教員を目指したきっかけは2つあります。1つ目は高校で化学の教員をしていた父の存在です。夕食を食べながら化学について楽しそうに話している姿がとても印象的でした。週末にはよく科学博物館に連れて行ってもらい、体験的に科学を学びました。2つ目は中学校時代の恩師との出会いです。テストで点数を取るために勉強をしていた私に「それだけが数学ではない」ということを教えてくださいました。数学を通して論理的思考を鍛え、抽象的な世界を表現する楽しさを知りました。これら2つの経験をきっかけに「学ぶことの楽しさを他の人にも伝えていきたい」と考え、高校卒業時には教員を目指すことを決めました。

教職課程を履修する上で工夫したこと

卒業後の進路選択に幅を持たせたかったので、中学校、高等学校の数学、理科の免許を取得できる科目を履修しました。環境化学科の科目だけでは免許取得の要件を満たすことができなかったので、他学科科目を履修するなどの工夫が必要でした。また、4年次の教育実習や採用試験に向けて、準備に余裕を持たせたかったので、1年次や2年次に単位数の上限を超えて履修しました。

教育実習の思い出

母校の中学校で教育実習を行いました。印象に残ったことは指導教官の先生が実習開始から一週間も経たないうちに忌引きで休暇に入ったことです。そのため、指導教官以外の先生方に支えられながら、他の実習生よりも多くの担任業務や授業を経験することになりました。この経験があったからこそ、同僚の先生方との協力がいかに大切かを知ることができました。また、研究授業では、実習二日目から生徒と一緒に育てたアルテミア(小型の甲殻類)を顕微鏡で観察しました。植物と動物の細胞の違いを顕微鏡をのぞき込みながら生き生きと学ぶ生徒の姿が忘れられません。このような経験から、体験的な授業を構成する姿勢は今も大切にしています。

採用試験対策について

〔筆記試験(専門教科、一般教養、論作文等)〕
専門教科については、大学入試の際に使用したチャート式シリーズの参考書を繰り返し解きました。教職教養については、不易な内容(教育心理、教育史、教育原理、教育法規など)は参考書をノートにまとめ、時代とともに変化する内容(学習指導要領、自治体独自の施策など)は本屋や役所で資料を入手し熟読しました。4年次までには模試でB判定を目標に対策を行いました。小論文ついては、過去に出題されたテーマを時間内にまとめる練習をしました。内容はゼミの仲間と互いに添削し、良い点や改善点を話し合い自己改善に繋げました。また、学習ボランティアでお世話になった中学校の校長先生に論文の添削をお願いし、教育現場の感覚とずれていないか確認を行いました。

〔人物試験(面接試験)〕
基本的には、筆記試験の対策で身につけた知識が面接で話す内容になります。その内容をいかに自分の言葉として語ることができるかが重要なので、ゼミの仲間と面接官役、受験生役、観察者役で分担をして、繰り返し実践形式の面接練習を行いました。自分でも気づかなかった口癖や話すスピードなどを観察者役に指摘してもらうことはとても参考になりました。また、自分が観察者役になり仲間の意見を聞くことで、考えの幅が広がりました。毎年必ず聞かれる内容(志望動機、目指す教師像など)は、あらかじめ考えた文章を暗記しておくと多少の余裕が生まれます。

教科指導において工夫していること

生徒が主体的に授業に取り組むように、生徒の身近にある課題を数学を使って解決することを心がけています。また、ICTを活用したり、具体物を使うなど課題提示に工夫をしています。課題解決では、自力思考の時間を十分に設定し、粘り強く課題に取り組む姿勢を育んでいます。その際には個々の生徒の習熟度に応じてヒントカードを配り「解けた喜び」を感じられるように工夫しています。授業の終末では複数の解法をクラス全体で検討し、よりよい考えに高め、一般化していきます。また典型的な誤答も取り上げ、課題への理解を深めます。特別な工夫ではありませんが基本的な流れを大切にして授業づくりをしています。

教員の魅力、やりがいについて

さまざまな背景や課題をもつ生徒たちが一生懸命頑張り、成長していく様子を間近で感じることができます。それを見ているだけではなく、自分がその成長に携わることができるのが教員の最大の魅力だと思っています。授業や学校生活の中で生徒が保護者や教員も驚くような成長を見せてくれることが多々あります。そのような場面に出会ったときはとても嬉しく感じます。また、生徒と共に生活することを通して、教員も多くのことを学ぶことができます。失敗を恐れず何事にも全力で挑戦する生徒の姿には日々感動と勇気をもらえます。

これから教員を目指す電大生へメッセージ

教員という仕事に就いて、目の前の生徒の表情が明るい時は自分も笑顔でいることが多く、逆に生徒の表情が暗ければ自分が怖い顔をしていることが多いことに気づきました。まさに「子どもは教師の鏡」です。なので生徒のより良い成長のためには、教員も人として立派であろうとする心構えが大切だと感じています。「技術は人なり」を教育・研究理念に掲げる東京電機大学で学ぶ皆さんは、将来素晴らしい教員になる素質をもっていると思います。大学で多くのことを学び、努力を積み重ね、教員という夢をつかんでください。いつの日か教育現場で共に働く仲間としてお会いできることを楽しみにしています。

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