新しい技術で地域課題を解決できる人材を日本中に育てるために

学部時代に地方自治体と連携し、IoTアプリケーションを駆使して地域の課題を解決する研究に取り組みました。そこで大きなやりがいを得たことから、より深く実践的な研究がしたいと考え、大学院に進学しました。

修士1年次には、今ある通信技術を使った新しいサービスを考える「ネットワークサービス研究開発特論」に参加。私は一人暮らしの高齢者で増えている「セルフネグレクト」や、「孤独死」の課題解決に向けた地域の見守りサービスを考案しました。この案では、電気やガスの利用の変化、冷蔵庫のドアの開け閉め、トイレの使用などの生活を見守ります。電気やガスはスマートメーターから、家電はLPWAという小型安価で低電力な一方通行のセンサーを取り付けて情報収集し、異常を検知した場合に社会福祉のスタッフ等が訪問する仕組みです。

また研究として、各地域に存在するさまざまな課題を地域内で解決できるよう、地域に根づいた先進人材を育成するSTEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)教育教材を作成しています。修士1年次には福島県楢葉町でソーラー発電の昼間の余剰電力の活用法を子どもたちに考えてもらう教育プログラムを作成。2年次は広島県呉市の都市部と人口減少の著しい地域の格差の解消方法を考えてもらう探求学習コンテンツの作成を行い、呉市の小学校高学年以上の子どもたちに利用してもらっています。呉市のデータを可視化しながらプログラミングやデータ解析などを学ぶことで、課題の解決方法を考えられる人材を育成します。

地域の過疎化により生まれる格差をどう改善するか、考える力を育むコンテンツを提供。地域の過疎化により生まれる格差をどう改善するか、考える力を育むコンテンツを提供。

後輩指導 オンラインによる指導でも伝わりやすいよう工夫

近年の社会状況の関係で、ティーチングアシスタント(TA)や、研究室の後輩の指導はオンラインで指導することが多かったように感じます。そのなかで、テキストでのコミュニケーションに苦労しました。チャットツール内での文章をより伝わりやすいようにするために、書式やファイルの共有方法を工夫しました。テキストだけで解決しない部分は、ビデオ会議ツールを用いて対面と遜色ない指導を心がけました。これらで培ったノウハウを、自身の研究で作成しているコンテンツに生かしています。

そして未来へ 内定先 日本アイ・ビー・エム株式会社

優れたデザイナーの感性や思考を用い、徹底した顧客志向に基づきモノやサービスを創出する「IBMデザインシンキング」という考え方に惹かれ、入社を決意。デジタル化が進む現代で、さまざまな技術を生活の中に浸透させるにはデザインの力が不可欠です。今後、IBMでどう成長できるのか、今から楽しみにしています。

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