学部時代には、材料力学・機械力学・流体力学・熱力学の4力学の基礎から応用までを学びました。機械設計製図や機械工学実験実習などを通して、エンジニアになるための基礎は身についたと認識していましたが、社会で幅広く活躍するための知識が不足しており、もっと成長しなければならないと思っていました。そのため、大学院で専門知識をより深めたいと思い、進学を決めました。
修士1年次の「設備安全工学」という授業が印象に残っています。この授業では、実社会で起こった事故事例を基に考察し、設備の安全性や信頼性を確保する手法や考え方を学びます。機械や構造物の破損防止方法や信頼性確保に必要な各種概念を理解することができました。
大学院では、工具寿命の改善などに使用される切削油剤の効果を検証しています。切削油剤は自動車産業や航空機産業をはじめ,数多くの製造現場で用いられており、潤滑性や冷却性に起因した工具摩耗抑制や切りくず処理に効果があるとされています。私は、各種切削油剤で加工特性を測定し、その効果を比較しました。この検証結果に基づき、これまで職人の経験則に委ねられていた工具寿命に対して、摩耗理論に基づいた誰でも使用できるシステムを開発しています。このシステムによって切削油剤の選定指針を明らかにします。
研究成果を、日本機械学会で発表しました。その分野を専門としている先生方の前での発表は緊張しましたが、質疑応答にも落ち着いて対応でき研究を進める自信になりました。また、研究室での発表は英語で行っていたので、日本語で行った学会での発表は容易に感じました。
後輩との研究活動を通じて、同じモチベーションを持ちつつ同じ歩幅で研究していくことの難しさを感じました。知識量や研究の経験値が異なることで、研究に対する熱量に差が出てしまう時もあります。そのような時は、自分の研究経験を基にして、具体的なアドバイスを言葉で伝えて、後輩のモチベーションを上げるように意識していました。
社会インフラを中心に多くの産業を牽引し続けている日立製作所で、ものづくりの根幹を担う生産技術を研究していきたいと考えています。大学院で生産技術について学び、機械の部品加工のコスト低減と高能率化の大切さや難しさを学びました。機械部品をより高品質かつ低コストで加工することはものづくりの目指すところであるので、大学で得た知識を発展させて、日本の生産技術力の向上に貢献したいです。