卒業生メッセージ:I.M さん

研究室での濃密な時間がターニングポイントに
社会人になっても常に学びをアップデート

I.M さん

花王株式会社
研究開発部門 安全性科学研究所 第2研究室
I.M さん


2012年3月 理工学部 生命理工学系(現 理工学部 生命科学系)卒業
埼玉県/県立春日部東高校 出身

通学の電車内でも英語の論文を読んだ日々

 私は化粧品の原料や最終製品の安全性評価を行っています。たとえば、原料に使用したい化学物質について、皮膚刺激性や眼刺激性、アレルギー性といった安全性に関するさまざまな情報を国内外の論文やデータベースから収集し、評価を行います。収集した情報だけでは十分な評価ができない場合は、細胞試験などを用いた評価戦略を考えるのも私の仕事のひとつです。
 電大では、4年次の研究室で過ごした密な1年間が、現在の私につながる大きなターニングポイントだったと思います。学術論文を読む機会がとても多く、最初は苦労しましたが、卒業する頃には抵抗なく読めるようになりました。英語の学術論文を理解するには、とにかく数多く読むこと。私は毎日の通学電車の時間を使って、論文を読むスキル向上に努めました。
 電大の授業で特に印象に残っているのは生命理工学概論※です。この講義では、大学での学びを生かして理系職に就いている方々から、さまざまな経歴や仕事内容を伺いました。この講義を通して、ひとくちに理系職といっても多様な仕事があることを知り、自分の進路を考えるうえで非常に重要な示唆を得ることができました。
※2008年度入学生の1年次設置科目

I.M さん[SIDE STORY]
高校時代に一番好きだった教科は生物。特に細胞に興味があったため、細胞の研究室がある大学を探して電大のオープンキャンパスに参加した。研究者の父から「電子ジャーナルの豊富さは大事」とアドバイスされたこともあって、電大を志望。社会人になってからは、化粧品の開発業務や安全性評価に携わってきた。

仲間との議論を通して自分の視野が広がっていく感覚

 これからは、分野をまたいだ技術革新がより一層進んでいくのではないでしょうか。「生命科学×IT」というように、複数分野の知見をかけ算して新しい価値を生み出すという方法が既にトレンドであり、今後はさらに複雑かつ多層的になると思います。
 分野をまたいだ技術革新を効率的に進めるためには、研究者同士のコラボレーションが必要となってきます。その時に必要となるのは、“コミュニケーション能力”と“調査能力”。私が在籍した細胞生化学研究室では、研究結果の報告会や論文の抄読会が毎週のように設けられていました。このような場で多くの人と議論したり、さまざまな指導をしていただいたことは、コミュニケーション能力や調査能力の向上につながりました。また、社会人になってからも、常に学びのアップデートが必要だと感じています。自らの知識を深めつつ、ほかの研究員と議論を重ねることで視野が広がっていく感覚は心地よいものがあります。
 「理系の仕事」は想像以上に多種多様で、活躍の場はたくさんあります。まずはそれを知ること。そうすれば、大学で学びたいことがおのずと見えてくるかもしれません。自主性を大切にする電大には、やる気次第で何倍にも成長できる環境が整っています。

DENDAIの思い出

卒業研究を通して、たくさんのことを学びました。たとえば、独りよがりにならないための意見交換の重要性。当時の私は、まだ証拠不十分な状態なのに結論を急ぐところがありました。議論の場で先生や研究室のほかのメンバーから多くの意見やアドバイスをいただくことで自らの弱みを認識し、自己成長につなげることができました。これらの経験は、今仕事をするうえでとても役立っています。

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