(序文より)
日本は急速な少子高齢化を迎え、生産年齢人口は加速度的な減少を続ける一方、人、もの、情報等のグローバル化が急速に進展している。加えて、国際関係が錯綜し、また景気回復も不透明な中で、GDPの減少や国際競争力の低下が危惧されるなど、新たな試練の時を迎えつつあるとも予測されている。
こうした状況を受け、国存立の基盤である「人材の質と量の充実と確保」(教育再生実行会議提言)のために「大学の役割は決定的に重要」(同前)との認識のもと、新たな大学改革が慫慂されている。「大学再生は日本再生の大きな柱」(同前)と言われるように、今日の大学は、これまで以上に社会に大きな責務を担っている。
さて、理工系大学の受験者数はバブル崩壊後の低成長期から回復、近年は企業の採用意欲も高く就職も好調で、経営環境は一見、順調に感じられる。しかし、1992(平成4)年に205万人だった18歳人口は、その後4割も減少し近年では120万人前後で推移してきたが、3年後の2018(平成30)年からは更なる減少が見込まれている。また現在、約600校の私立大学のうち265校で定員割れが発生している。私学をめぐる経営環境はいっそう厳しさを増し、予断を許さない。しかし、だからこそ選ばれる大学への転換(他大学との差別化)が求められている。このため本学としても、大学ブランドを強化し、特色ある大学を実現する絶好の機会と捉え、教職員全員で挑戦していく。
本学園は、創立以来「技術で社会に貢献する人材の育成」を使命に、建学の精神、教育・研究の理念のもと教育熱心で親身な学校を目指してきた。そして2012(平成24)年に東京千住キャンパスを開設し、次の100年に向けた基盤整備が整った状況を踏まえ、社会環境の変化に適応し、輝き続ける東京電機大学の実現を目指すべく、2014(平成26)年度から10年間を目途とする「学校法人東京電機大学中長期計画~TDU Vision2023~」を策定した。この中長期計画では、大学、中学校・高等学校、財政健全化、ガバナンス構築と運営組織、推進のための点検評価における課題を抽出し、目標達成のための活動項目と工程表を整備した。
2015(平成27)年度は、その2年目としての事業推進を図る。特に東京千住キャンパス第2期計画、2018(平成30)年度の情報環境学部等の東京千住キャンパスへの移転に関連する諸施策、財政健全化及びガバナンス構築に注力する。あわせて、継続する諸課題の解決を図る。