2025.02.17
NEWS RELEASE
報道関係各位
学校法人東京電機大学
学校法人東京電機大学(理事長 石塚昌昭)は、このたび、令和6年度 学校法人東京電機大学学術振興基金「丹羽保次郎記念論文賞」、および「教育奨励賞」を決定し、去る2月15日、東京千住キャンパスの「カシオホール」において、各賞の授賞式を開催しました。各受賞者には、東京電機大学学長の射場本忠彦より、表彰状と記念品を授与しました。
本学の初代学長である故丹羽保次郎博士の功績を記念して、昭和52年(1977年)より電子通信工学関連分野(情報工学、電気工学等の関連分野を含む)に属する大学院生を中心とした若手研究者の優れた論文に授与するものです。今年で48回目を迎え、これまでに100名(今年度の受賞を含む)が受賞しています。受賞者は、本学以外にも東京大学や京都大学などの国立大学、早稲田大学や慶應義塾大学などの私立大学からも選出されています。
今年度は12篇の応募の中から同賞審査委員会(委員長 射場本忠彦 学長)による厳正な審査の結果、3篇の受賞論文を決定しました。
本学における独創性が豊かな教育/特色ある教育/顕著な教育成果をあげた教科書/教育に関する独創的または特色ある研究成果等を対象とし、教員等の業績を表彰するものです。平成4年度より開始した本賞は、今年度で32回目を迎え、これまでに62件(今年度の受賞を含む)を表彰しています(「教育賞」:30件、「教育奨励賞」:32件)。
今年度は「教育奨励賞」を4件選出しました(「教育賞」は該当なし)。
学校法人東京電機大学が設置する学内における教育並びに研究活動の助成および学内外の科学技術に関する優秀、顕著な研究に対する援助を行い、もって科学技術の振興に寄与すること等を目的として、特色のある教育並びに研究活動や奨学援助、国際交流などの奨励に資する事業を展開しています。
●受賞者および所属
長田 将
Apple Japan合同会社
●受賞論文および論文掲載誌
A Fractional-N Ring PLL Using Harmonic-Mixer-Based Dual Feedback and Split-Feedback Frequency Division with Phase-Domain Filtering
IEEE Journal of Solid-State Circuits(2024年1月30日掲載,Vol.59,No.7)
●受賞事由
本論文は、二重帰還構造により安定性を保ったまま雑音低減を可能とする位相同期回路の画期的な提案を行い、実測でその効果を示しており、学術的・産業的に波及効果が非常に高く、丹羽保次郎記念論文賞にふさわしい。
●受賞者および所属
前 匡鴻
東京大学大学院 工学系研究科電気系工学専攻
●受賞論文および論文掲載誌
Multi-Axis Resonant Filter Design using Frequency Response Data applied to Industrial Scan Stage
IEEE/ASME Transactions on Mechatronics, Vol.29, No.4, 2024
●受賞事由
本論文は、6軸スキャンステージの制御における数理最適化手法により、従来の手動最適化を凌駕する性能を実現し、企業との共同研究を通じて実証実験まで行っており、丹羽保次郎記念論文賞にふさわしいと判断される。
●受賞者および所属
川原 啓輔
横浜国立大学 理工学府数物・電子情報系理工学専攻博士課程
●受賞論文および論文掲載誌
High-speed, low-voltage, low-bit-energy silicon photonic crystal slow-light modulator with impedance-engineered distributed electrodes
Optica(2024年8月28日,Volume:11,lssue:9)
●受賞事由
川原啓輔氏は、独自の位相整合電極を有する低電圧かつ省電力に動作するシリコン超高速光変調器を提案し、動作実証している。また、筆頭著者として著名な学術誌に4編の論文を掲載し、12件の国際会議発表を行っている。
●業績の標題
TDU International Workshop
●受賞者(所属)
宍戸 真 教授(システムデザイン工学部 英語系列)
堀田 宜之 課長(国際センター)
梁瀬 俊(国際センター)
●受賞理由
本業績は、国際センターの教員と職員が共同で実施した、全学に係る国際交流プログラム「International Workshop」の実践である。
「International Workshop」は、海外協定校から学生を招待し、本学の学生と留学生が協働でものづくりを行うことにより、国内にいながら国際交流を体験できる独創的な取り組みである。
従来の海外語学研修では、日本人学生だけでクラスを構成することが多く、現地の学生と直接交流する機会はほとんどない。しかし、このワークショップでは、海外からの参加者と交流する機会が豊富に提供されており、異なる文化や背景を持つ学生同士が学び合い、共に成長できる環境が整っている。
その結果として、本取り組みの参加者において、異文化理解や自主性等の資質能力の向上が認められた。
以上により、本取り組みは全学に係る意欲的な取り組みとして高く評価できる。
●業績の標題
講義のフルデジタル化と反転授業による学生の言語能力の向上
●受賞者(所属)
松谷 巌 准教授(理工学部 機械工学系)
井上 貴浩 教授(理工学部 機械工学系)
小平 和仙 講師(理工学部 機械工学系)
●受賞理由
本業績は、「講義のフルデジタル化」により学生の授業満足度向上を目指し、また、「反転授業の実践」により学生の日本語運用能力と論理的思考力を向上させようとする取り組みである。
「講義のフルデジタル化」では、講義内容の録画・録音や、講義資料・板書内容のデジタル化等を実践し、授業時間の大幅な圧縮化を行い、空き時間に教養的な動画コンテンツの視聴時間を設ける等の授業満足度向上に係る取り組みを行った。その結果として、授業満足度の向上が認められた。
「反転授業の実践」において、学生は録画した講義を視聴し、その内容を書き取ってセリフを再構成し、音読(10回)を行い、さらに教員に代わり授業を行い、質疑応答の対応等を行った。
その結果として、学生の日本語運用能力と論理的思考力が向上したことが研究活動に活かされ、多数の学生が学会賞を受賞したほか、優良企業へ就職することができており、本取り組みの有効性を証明している。
以上により、本取り組みは、独創性が豊かで特色ある教育と認められ、さらなる展開を期待できる。
●業績の標題
英語にコンプレックスを持つ工学専門教員が行う理工系英語教育の実践
●受賞者(所属)
本橋 光也 教授(工学部 情報通信工学科)
●受賞理由
本業績は、英語にコンプレックスを持つ受賞者による理工系英語教育の実践である。
グローバル化が進展する昨今において、英語教育の重要性はますます高まっている。その一方、本学の多数の学生は英語能力に自信が持てず、英語を敬遠しがちである。また、本学においては、日常会話の英語教育は行われているものの、理工系英語の教育が十分に行われているとは言い難い現状がある。
受賞者は、このような状況下において、講義科目や実験科目、卒業研究において、仕事の現場で使える実学的な理工系英語の教育を行った。授業中使用する言語は英語であり、使用するテキストや講義ノートは受賞者が自作している。また、英語の板書の筆写や英語の手書きレポートの作成、英語によるプレゼンテーション等の複数の取り組みを行っており、学習内容を効果的に定着させる試みであると評価できる。また、受賞者は、授業中、学生に対して真摯に向き合うことで、英語に対する自信を身に付けさせることに成功しており、その成果が授業アンケートの結果にも表れている。
以上により、本取り組みは、独創性が豊かで特色ある教育と認められ、さらなる展開を期待できる。
●業績の標題
プラスティコバトル
●受賞者(所属)
伊藤 潤 准教授(システムデザイン工学部 デザイン工学科)
●受賞理由
本業績は、デザイン工学科3年次科目「プロダクト・デザイン」において、受賞者の創案による「プラスティコバトル」と命名した授業の実践である。
「プラスティコバトル」とは、知的書評合戦として知られるビブリオバトルを着想の源として、批評対象を書物からプラスチック製品に置き換えるという独創的な試みである。学生は4大プラスチックを用いた製品を持参し、素材の使い方を含めて製品の魅力を口頭で説明し、聴衆が投票して勝者を決定する。
本授業を通して、学生は、素材が実際の製品においてどのように用いられているか調べ、また、何故その素材が用いられているのかを考察することで、素材への理解を深めることができた。また、バトル形式のプレゼンテーションの準備・実践を通して、聴衆をうまくひきつけるプレゼンテーションについても学ぶことができた。学生が楽しみながら主題に対する理解を深め、プレゼンテーション技術の向上を促すこともできる点から、有用なアクティブ・ラーニングの授業として、高く評価できる。
以上により、本取り組みは、独創性が豊かで特色ある教育と認められ、さらなる展開を期待できる。
<取材に関するお問い合わせ先>
学校法人東京電機大学 総務部(企画広報担当) 担当:佐藤・松本・小城
TEL:03-5284-5125/FAX 03-5284-5180 e-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp
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