宮保 憲治
情報環境学研究科 情報環境学専攻 教授 博士(工学)
1974年電気通信大学卒、1997年工学博士、1974年日本電信電話公社(現NTT)入社、武蔵野電気通信研究所配属。ディジタルネットワークの研究、超高速プロセッサ、ATMネットワークの実用化、2003年より現職。電子情報通信学会フェロー。
先端ネットワーク技術研究室の研究テーマは、高信頼ネットワーク分野の①DRT(ディザスタリカバリ技術)と②サイバー攻撃、ユービキタスネットワーク分野の③アドホックセンサーネットワークと④可視光通信技術の4つに大別することができます。
DRTでは、クラウド技術を利用した信頼性の高いバックアップ技術や、超高速の暗号通信技術の研究を行っています。これらの分野は国際学会で論文賞を受賞するなど、国内外で高く評価される研究成果をあげている長年研究を続けてきたテーマです。また、ネットワークやコンピュータに対するサイバー攻撃が問題になっていることから、その早期検出方法の研究に数年前から取り組み始めています。
ユービキタスネットワーク分野では、アドホックセンサーネットワークの研究を行っています。これはセンサーとノードを搭載したロボットが移動することで、自動的に通信障害を解消するシステムの研究を中心として、無線送電など幅広い分野に応用できる研究です。電波や赤外線などではなく、可視光を利用した通信技術の研究では、照明による通信や、可視光・香り・センサーを組み合わせた遠隔医療に応用できる研究を進めています。
4年次で必須であった学会発表に加え、大学院ではさらに国際会議への参加と特許出願にもチャレンジします。また、技術展示会などで、企業の技術者に研究成果を説明する機会も少なくありません。学会に参加したり、技術展に出展するためには新しい研究成果に加え、プレゼンテーション能力も重要になります。さまざまなチャレンジは、プレッシャーにもなりますがそこから得られた成果は、きちんと評価されます。
当研究室では、テーマごとにチーム制で研究を進めています。チームで研究を進めることが、コミュニケーション力の強化になり、後輩を教えることで自分自身も大きく成長することができます。「チャレンジ精神の道場」である当研究室で学んだことは、就職活動やその後、企業で仕事を行ううえで必ず役に立つと信じています。
「可視光」を使うことで高速通信を効率的に行うことができます。iPodとスピーカーは可視光通信装置を通して、接続されています。写真ではLEDと光センサーの距離は数センチですが、数十メートルでも通信が可能です。
「アドホック」とは、センサー同士が直接データをやりとりする通信方式です。通信の経路を変更したり、小型ロボットが移動することによって、通信障害を自動的に解消することが可能になります。