山田 あすか
未来科学研究科 建築学専攻 准教授 博士(工学)
2005年 東京都立大学大学院 工学研究科 建築学専攻 博士課程修了。日本学術振興会の特別研究員を経て、2006年より立命館大学理工学部建築都市デザイン学科において講師を務め、2009年10月より現職。専門分野は、建築計画(医療・福祉・教育建築,居住空間,都市空間)および環境行動。
「建築計画」と「環境行動」が、この研究室の専門分野です。私は以前から、医療や福祉、教育の施設を専門にしていますが、「建築計画」では、そういった建築物の実施設計の前段階の計画、その建物の利用者像や活動の想定や、建物がどのようにできていれば利用者にとって使いやすく、安全で快適か、といったことを研究し、提案します。一方「環境行動」では、人間と環境の関係そのものに着目し、ある環境に置かれた際に人々がどのような心理をもち、どのような行動をとるのか、ということを研究します。
この2つを両輪として研究することで、例えば、どのような学校を作ったらいいのかを考える一方で、学校という枠組にとらわれず、子供たちの学びの場は本来どうあればいいのか、という視点でも考えられ、既存の制度や概念を超えた新しい建築物や社会の在り方までを考え、提案することができます。
研究対象は、高齢者施設や障碍者施設、病院、学校などですが、そこで大事にしているのは、「どうすれば環境が人を助けられるのか」という視点です。環境の影響を受けやすい人たちを、環境を整えることで支え、主体的な生活を支援したいと考えています。実際に医療施設の子供用プレイルームや、高齢者施設の設計などに一緒に携わることもあります。新しいプレイルームで、リハビリが進んでいなかった子供が遊びを通して生き生きと過ごせるようになったとの事例もうかがい、とても嬉しく思います。そういう活動を通して研究成果を少しでも社会に還元していきたいと思っています。今後も地元自治体や国の研究機関などと連携して、研究や実践活動を進める予定があります。私たちにできることは多く、またやらなければならないと強く感じています。
大学で学ぶ期間は、それまでの「社会が自分に何をしてくれるのか」という視点から、「自分が社会に対して何ができるのか」という視点に転換する重要な期間だと思っています。そのためにも、自分が興味を持って心から打ち込める研究テーマを見つけ、取り組んでください。
特別養護老人ホームや小規模多機能居宅介護事業所を複合した、地域に開かれた施設を提案しました。