2020.06.05
国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長らと共同研究してきたゲーム障害に関する論文が、Public Library of Science社発行の科学雑誌「PLOS ONE」に掲載されました。
この論文は、栗城眞也本学研究員(元本学特別専任教授、北海道大学名誉教授)と小林浩本学名誉教授、依存症専門の国立病院である久里浜医療センターのグループと早稲田大学、明治大学のグループの共著によるものです。
本研究は、若年者のゲーム障害の脳機能への影響をfMRIを用いて調べたもので、健常対照被験者として東京電機大学中学校・高等学校の生徒と本学学生も参加しました。
媒 体: PLOS ONE(Public Library of Science社)
論文名: Neurobiological influence of comorbid conditions in young patients diagnosed with gaming disorder:
A whole-brain functional connectivity study based on a data driven method
ゲーム障害と診断された若年者における合併疾患の神経生理学的影響 :データ駆動法に基づく脳機能の結合性に関する研究
要旨
我が国はもとより世界的な問題となっている若年者のゲーム依存(2019年WHOは“ゲーム障害”を国際疾病に認定)については、発達障害などの精神疾患を合併する場合が多いことが知られています。これまでに報告されている合併疾患の脳神経生物学的影響の議論では、脳内ネットワークの結合性の変化が示されていましたが、統一した見解の確立には至っていません。
この研究では、ゲーム障害と診断された40人の患者(17名は合併疾患)と29人の健常対照者からなる若年者を対象に、安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による脳機能結合分析を行いました。その結果、健常対照者と比較して、ゲーム障害のみの患者は、報酬系と実行制御ネットワークの結合性の部分的な低下などが観察されました。これに対して、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害を合併するゲーム障害患者は、ゲーム依存の原因となる認知/実行や情緒機能に関連するネットワークの再編成と機能低下を引き起こしていることが判明しました。
掲載サイト :PLOS ONE(外部サイト)右上段の[Download PDF]から論文をダウンロードできます。