東京電機大学が開発した「AREA RAIN」の試験運用を開始

2018.08.08

横浜駅西口地下街等の避難確保及び浸水防止のため
東京電機大学が開発した「AREA RAIN」の試験運用を開始
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの採択研究として、本学が開発した水害防止の情報システムを横浜駅西口共同防火防災管理協議会が試験的に利用開始

学校法人 東京電機大学

東京電機大学(東京都足立区、学長:安田 浩)は、工学院大学、国立研究開発法人土木研究所、北海道大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で2014年度から2018年度までの5カ年にわたり、内閣府の戦略イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエントな防災・減災機能の強化」の中の「巨大都市・大規模ターミナル駅周辺地域における複合災害への対応支援アプリケーションの開発」(以下「本研究」)に採択され、研究開発を行っています。

本研究は、人口や経済活動などが集約する首都圏の都心部を念頭に置き、首都直下型地震等による震災と、集中豪雨等による水害に起因する都市型複合災害へ有効な対応・減災支援技術を開発することを目的としたものです。

本研究において、本学では、XRAIN雨量データ等を活用し、細かな区画ごとの雨量情報を、地下への出入り口を管理する地下空間管理者等に提供する情報システム、およびスマートフォン向けアプリケーション(名称:AREA RAIN)の開発(機関代表者:本学 小林 亘 教授)を担当しています。

このたび、横浜駅西口地下街等の水害による避難の確保、浸水の防止をより一層万全なものとするため、防災のための情報システムである「AREA RAIN for 横浜駅西口」を開発しました。
「AREA RAIN for 横浜駅西口」は、横浜駅上空の降雨レーダデータ、横浜駅の周囲にある帷子川、幸川、新田間川、帷子川分水路の河川水位データ、横浜港の潮位、LPWA浸水検知センサにより、横浜駅エリアの詳細な状況を総合的に監視し、大雨、水位・潮位の上昇、浸水が起きた際に、防災関係者にメールで注意喚起の通知を行います。また、状況はブラウザにより見ることができます。
降雨レーダは国土交通省XRAINのデータを、また河川水位は神奈川県、横浜市、相鉄ジョイナスの水位計のデータを、潮位は海上保安庁の潮位計のデータを、それぞれ利用しています。LPWA浸水検知センサは、「AREA RAIN for 横浜駅西口」のために、本学で新たに開発したもので、河川(幸川、放水路金港橋付近に設置)や排水溝(北幸町、南幸町に設置)の溢水を検知することができます。
8月1日には、横浜駅西口共同防火防災管理協議会と「AREA RAIN for 横浜駅西口」を利用したワークショップを行いました。そして8月8日には、全てのセンサの動作が始まり、「AREA RAIN for 横浜駅西口」の試験運用を開始します。
「AREA RAIN」は、エリアの詳細な状況を把握して水害を防止するために、今後も水平展開していきます。


■「横浜駅西口共同防火防災管理協議会」とは
1969年に設立され、横浜駅西口地下街(通称:相鉄ジョイナス地下街)と接続する、相鉄ジョイナス・横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ・高島屋横浜店などの計21事業所で構成される(事務局:㈱相鉄ビルマネジメント)。横浜駅西口エリアは帷子川や新田間川などの河川に囲まれており、協議会や各事業所では浸水防止板などの設置、「横浜駅西口地下街等避難確保及び浸水防止計画」の整備を進めている。

■「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」とは
「戦略的イノベーション創造プログラム(略称:SIP)」は、科学技術イノベーション総合戦略(平成25年6月7日閣議決定)及び日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)において、総合科学技術会議が司令塔機能を発揮し、科学技術イノベーションを実現するため創設することが決定。SIPは、府省・分野を超えた横断型のプログラムで、総合科学技術会議が課題を特定し、予算を重点配分するものであり、課題ごとにPD(プログラムディレクター)を選定し、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据え、規制・制度改革や特区制度の活用等も視野に入れて推進していくものである。

■「LPWA浸水検知センサ」とは
LPWA(Low Power Wide Areaの略)は、低消費電力で広域をカバーする無線システム。「LPWA浸水検知センサ」の設計寿命は電池で10年となっている。「AREA RAIN for 横浜駅西口」では、相鉄ジョイナスの屋上に設置した受信アンテナで、北幸町から西口五番街、横浜駅東口金港橋までのエリアをカバーする。「LPWA浸水検知センサ」は、通行の妨げにならないように歩車道の排水溝内の金属蓋(グレーチング)の下に設置し、衛星放送と同じ円偏波による送信を行う。

AREA RAIN for 横浜駅西口の概要図

◎本研究の機関代表者
東京電機大学 研究推進社会連携センター教授 
同    総合研究所 レジリエントスマートシティ研究所所長  小林 亘

参考:
戦略的イノベーション創造プログラム(国立研究開発法人科学技術振興機構ホームページ)
http://www.jst.go.jp/sip/about_SIP.html
雨降りビューア(降雨情報(横浜・新宿・北千住ほか)と浸水情報(横浜駅)を一般の方向けに公開)
http://area-rain.org/ame/

<本件に関するお問い合わせ先>
学校法人東京電機大学 総務部(企画広報担当) 担当:本田・石井
TEL 03-5284-5125/FAX 03-5284-5180  e-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp
〒120-8551 東京都足立区千住旭町5番 https://www.dendai.ac.jp/