2011.04.20
このたびの東日本大震災におきましては、不幸にして人命を失われた犠牲者の方々に哀悼の意を表し、また被災者の皆様に深くお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
なお、TDU新キャンパス創設だよりは3月に発行予定でしたが、震災の影響により休刊としましたのでご了承ください。
現在建設中の東京千住キャンパスでは、震災による人的被害はなく、点検の結果、特段の建物損傷もなかったため、地震翌日から工事を再開しています。
なお、供給電力不足への配慮として現場内の節電に努めるとともに、今後も安全を最優先に工事を進めてまいります。ご理解ご協力のほど宜しくお願いします。
東京千住キャンパスの建設工事は、2月中旬には2号館(N棟)、2月下旬には1号館(W棟)の主体 構造である鉄骨工事がほぼ完了しました。現在は、各棟で内外装工事及び設備工事を進めています。
また、3月上旬に4号館(S棟)、3月下旬に1号館(W棟)において、国土交通省「省CO2推進モデル事業」に関わる先導的な省CO2技術の1つである連結縦型蓄熱槽の設置工事を完了しました。
東京千住キャンパスの各建物の工事の進捗状況は、次の通りです。
1号館(W棟):外装工事がほぼ完了し、低層部より内装工事及び設備工事を進めています。交通広場に面する大階段については、基礎及び地上躯体工事を施工中です。
2号館(N棟):内外装工事及び設備工事を進めています。また、導線となるエスカレータ(1階~10階:計18基)の設置を開始しています。
3号館(E棟):厚生棟部分は引き続き内外装工事を進めています。学生会館部分の地上躯体工事(鉄筋コンクリート造)がほぼ完了したことから、現在は体育館部分の基礎及び地上躯体工事を施工しています。
4号館(S棟):内装工事及び設備工事を進めています。
東京千住キャンパスでは、最新のヒートポンプ・蓄熱システムを導入しています。この「ヒートポンプ」とはエアコンやエコキュート(給湯機)等で使われている、大気中や地中などの自然界の熱を汲み上げて利用する技術で、CO2の大幅な削減につながる注目のエコ技術なのです。
写真のトラックが運んでいる大きなタンクが、冷暖房用の冷水や温水を蓄える設備、"縦型蓄熱槽"です。この中は水で満たされていて、電力利用の少ない夜間(しかも安い)に氷や冷水を作ったり、お湯を作ったりして貯蔵しておきます。その冷水やお湯を室内のエアコンの吹出し装置(ファンコイルユニットやエアハンドリングユニットって言います)へ送って、冷風や温風にして、建物の空調を行なうという仕組みなのです。
ご覧のとおりタンクは大きくて重いためで、通常、建物とは別に地上に置かれます。しかしその際は地震で揺れないよう高さを低くするため、断面積が大きくなってしまい場所をとる、あるいは支える基礎部を頑丈に作る(コスト増と工期の長期化)などが難点でした。
そこで、東京千住キャンパスでは、スリムな蓄熱槽をタテに連結させ建物内に納めること(各タンクは独立しており建物の梁に懸垂)に挑戦し、設置に無事成功しました。(写真のように屋上のクレーンで吊り上げてほとんど隙間のないタテ孔にゆっくりゆっくり降ろして設置したわけです。)連結縦型蓄熱槽は、各階に設置した小さなポンプで、必要な階にだけ冷水やお湯を送れるので、ポンプの消費電力が大幅に抑えられる利点もあります。蓄熱槽をタテに連結するのは、なんと世界でも初めての試みです。本学の取り組みをきっかけに既存建物への設置やCO2排出量の削減等の効果が期待されるところです。加えて、震災時にはトイレ洗浄水などの中水として供給されます。東京千住キャンパスでは、この連結縦型蓄熱槽を1号館(W棟)に5層×2缶、4号館(S棟)に3層×2缶、全部で16缶も設置しています。まさに最先端ですね。
蓄熱槽の大部分はキャンパス完成後、建物に囲まれて見えなくなってしまいますが、1号館には見学用の窓が設置されます。いつでも見学できますので、ぜひお楽しみに!
なお、これらのシステムは、未来科学部建築学科の建築熱環境・省エネルギー研究室が開発した技術を実用化するものです。
詳しくは、(財)ヒートポンプ・蓄熱センター http://www.hptcj.or.jp/ もご参照ください。
【編集後記】
○ 今月から編集担当に就きました石井です。3月11日金曜日、私は職場で地震に遭い、電車が軒並み運休してしまったため東京神田キャンパスで一夜を明かしました。東北地方の被害は想像に余りあるものですが、関東地方でも液状化や断水、停電など生活への影響が出ています。
「備えあれば憂いなし」、私もバスタブの水は常に貯めておくようになりました。
○ 先日、北千住駅の周辺に行く機会があり、満開の桜を目にしました。足立区は昔から「荒川の五色桜」といわれる桜の名所で、明治45年に日米友好の印として当時の東京市からワシントンDCに贈られた穂木はポトマック公園に定植されてアメリカ合衆国における桜の名所になりました。一方、本家の五色桜は堤防工事などの影響で数を大きく減らしてしまいましたが、昭和56年に区政50年を記念してポトマック公園の桜から採った桜が海を渡り、「里帰り桜」として区内の公園や学校など随所に植えられたということです。
ちょうど桜の後ろに新キャンパス工事のクレーンが見えました。来年の春には、クレーンはなくなっていますが、桜の背景はどのような景色がひろがっているでしょうか。
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