令和5年度 PBL教育支援プログラム 成果報告「総合英語ⅠA」

2024.04.01

開講学部 理工学部/理学系
科目名 総合英語ⅠA
担当教員 【理工学部/共通教育群】
河上 睦

Q1 PBLを導入した意図・目的

本科目は英語リーディング・ライティングを中心として、基礎的な文法力や語彙力の育成目指しており、教科書を用いた言語学習と並行してPBL活動を行なった。PBL導入の目的は3つあった。1) 4技能をバランスよく使うタスクシラバス開発のため:多読(習熟度レベルにあった多くのインプット)やタスク(アウトプットとインタラクションの機会)のタイプや配列を検討する。2) 語彙力・コミュニケーショ力の向上のため:ディスカッションや協同的学習を通して、円滑なコミュニケーションのために必要な言語的・非言語的アプローチを学ぶ機会を提供する。3) 英語学習に対するやる気の高揚と継続のため:実践的なタスクをつなげたプロジェクト活動を授業で行うことで、英語学習の意義や面白さを体験させ、3年次以降に求められる専科と関連した英語学習のきっかけ作りを期待した。

Q2 授業におけるPBLの実践方法

【グループ分けの方法】
最終的な目標は、7月のオープンキャンパスで上映する理学系のプロモーションビデオを作成することであった。初回に実施したアンケート結果に基づき、興味関心が近い学生を4人1組のグループに分けた。グループごとにプロモーションビデオの内容・構成を考え、必要な情報を集める活動を行った。

【クラス環境】
グループで議論をしやすいように、テーブルは向かい合って4名が座れるように配置した。また、3箇所にスクリーンがあり、グループプレゼンテーションを同時に3グループが行える教室を使用した。そのため、準備ができたグループは練習したり、発表本番時には3箇所同時に発表できるため、オーディエンスを変えて2回以上発表する機会が持て、流暢さを伸ばすことができた。
【成果発表方法】
第14週目にビデオ撮影を実施し、グループ間でフィードバックを交換した。さらに、撮影したビデオは、7月のオープンキャンパスで上映した。

発表の様子

Q3 授業における成績評価方法

成績評価のうち25%をPBL活動に充てた。
1. 資料収集・分析→調査ノート:10%
2. ハンドアウト(プレゼンの構成・作文等):10%
3. 振り返りシート:5%

Q4 学習成果の可視化への取組み

学生各自が学習を振り返ることができるように、One Drive上にグループごとにフォルダーを作り、OneNoteを用いて、役割分担表と、その進捗状況を記すスプレッドシートや個人の振り返りシートをアップロードし、毎回の授業後に「できるようになったこと」「今後の課題」等について記述してもらった。教員はできる限りコメントを書き、学生の取り組みについてフィードバックした。また、前期最終週の授業では、プロジェクト活動についてのアンケートを行い、どの程度努力を費やしたかやどのような能力が身についた等について回答してもらった。

Q5 PBLを発展させるための課題

【学生側の課題】
グループの各メンバーが必ず役割(リーダー、メディアスペシャリスト、渉外担当、書記など)を担い、リーダーシップが発揮できるよう工夫したが、受動的な学習法に慣れており、自発的にリーダーシップを発揮できない学生もあった。したがって、他教科や自分が持っているコミュニティーでの経験も含めてグループワークを成功に導くための方法や学習の進め方を学ぶ機会が必要であるようだ。
【教員・指導環境の問題】
学生のモチベーションを喚起・維持させるために、教員は対象学生の興味や関心について知り、学生がステイクホルダーを意識できるように、社会とつなぐ役割を担うが、担当している英語の授業全てにおいてコーチングしながらPBL授業を行うことは、教員ひとりでは相当大きな挑戦となるであろう。

Q6 授業の概要と進め方

英語初級クラスを対象として、授業では教科書を用いたリーディング・ライティングに焦点を当てた指導と並行してプロジェクトを行った。

プロジェクトは次の手順で行った。
Step0 (1週目):
診断テスト(語彙・熟語知識テスト)・アンケート・班分け
Step1(2週目〜4週目):
課題(Big idea)「理学系で学ぶ学問と私たちの生活」を提示。
Step2(5週目):
聞き取り調査 (ゲストスピーカー講演)
Step3(6〜8週目):
「専門科目で興味ある分野(数学、物理、化学、情報数理)がどのように私たちの生活に役立つか」についてグループ毎に調査計画を立て、中間発表。
Step4(9〜12週目):
グループ毎にディスカッションし、調査内容を記録。
発表時の英文構成や説明に使用される語句の指導後、短い作文を書く活動。
Step5(13〜14週目):
調査結果のまとめ。プロモーションビデオ録画・ピアフィードバック。言語項目についての産出知識テストと動機付けに関するアンケート回答。


〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)

東京電機大学教育改善推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。