2023.04.01
開講学部 | 工学部/電子システム工学科 |
科目名 | 化学基礎および化学実験 |
担当教員 | 【工学部/応用化学科】 保倉 明子 【工学部/自然科学系列】 宮﨑 淳・田中 里美 【工学部】 田中 雅人・三浦 恵美・篠崎 開 |
本科目は、理工系学生の素養となる材料や物質に関する基礎知識の修得を目的としており、講義パートと実験パートから構成されている。実験パートでは、受講者は、3-4人の少人数のグループをつくり、1回に1つのテーマについて取り組むが、それぞれのテーマの関連性やその意義について意識することは難しい面がある。そこで、いくつかの化学実験のテーマを有機的に関連付け、主体的に学習するPBLの学習形態を導入する。
具体的にはPBLの学習形態を導入し、燃料電池カーレースを実施する。燃料電池の構成を学んだあと、班ごとに燃料電池を作成する。これを取り付けたモデルカーを用いて、レースを実施する。班ごとの工夫がレース結果に出ることを期待した内容である。
座学で学習した「水素の発生」「酸化還元反応」「光のエネルギー」などの知識を、環境にやさしいものづくりに活かし、わかりやすい「燃料電池カー」という形の成果物が得られるプログラムである。化学に関する幅広い基礎知識が実用的なものづくりにつながるという「気づき」と「実感」を得るためには、PBL形式の学習が効果的である。PBL形式を導入することで、新しい知識の獲得に努める積極的な学びとなることが期待される。
【グループ分けの方法】
成果報告会を第15週に実施した。燃料電池カーのタイプを3つ用意し、希望するタイプの車を一人一台作製するプログラムとした。同じタイプの車を作製する学生3-4名で1つのグループを作り、お互いの車の性能のブラッシュアップを検討してもらった。
【授業環境】
学科全員が同じ空間で参加できるように、3つの教室を連結した大教室として利用した。教室のスクリーンを使って、全体説明をしたのち、グループごとの作業とした。
持参した工具類を使って、一人一台の車を作成した。車の性能評価するためのコースを用意し、そこで車の電池のパラメーターを変えながら、動作確認できるようにした。
【問題の提示方法】
事前課題をWebClassで提示した。当日、取り組む課題プリントを配付し、検討した電池のパラメーターやそれに対応した性能を記録するようにした。
【成果発表方法】
各自の車を使ってレースの勝ち抜き戦を実施した。また電池のパラメーターを検討したグループワークの発表会を実施した。プレゼンテーションに対して、1位から3位まで表彰し、副賞を授与した。
授業内成果物(小テスト、レポート、提出物など)で評価する。
講義に常時出席して指定された課題を提出し、すべてのテーマの実験を行い、レポートを提出した学生を評価対象とする。
講義の成果物 50点、実験の成果物 50点とし、単位取得のためには、それぞれ 30 点以上が必要とする。
実施後に、WebClassを通じて、アンケートを実施した。
第1回「身の回りの化学とものづくり、安全教育」
講義:身の回りの化学、ものづくりと化学
実験:ガイダンス、レポートの書き方、データの扱い、化学情報の調べ方、化学物質安全性データシート、
Safety Data Sheet(SDS)、引火性液体の扱い方、有機溶剤と特定化学物質、実験廃棄物の処理、
緊急用シャワーの使い方
第2回「物質の状態変化」
講義:物質の三態、気体、理想気体の状態方程式、燃焼、エネルギー
実験:PC を使った分子の可視化(シミュレーション)
第3回「化学反応」
講義:酸と塩基、酸化還元、イオン化傾向、電池
実験:金属元素の原子量を求める
第4回「材料の化学」
講義:原子の構造、化学結合、材料の物性を決める要因(組成、結晶構造、化学状態、組織構造)
実験:低融点合金、石膏、樹脂などの合成・物性測定
第5回「色の化学」
講義:色素、顔料、化学発光、炎色反応、蛍光
実験:吸光、発光、蛍光
第6回「水の化学」
講義:硬水と軟水、溶ける・溶けない、界面活性剤
実験:水の硬度測定
第7回「食品の化学」
講義:食品の成分、薬と毒
実験:デンプンの加水分解
第8回 PBL導入授業「燃料電池カーレース」
〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)
東京電機大学教育改善推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。