2012.03.16
平成24年3月21日
教育改善推進 室長 井浦 雅司
教育改善推進室では、PBL(Problem-Based Learning 又は Project-Based Learning)を取り入れた教育に対して学内公募を実施し、厳正な審査の結果、採択された取組に対して必要な経費支援を実施致しました。
この度、「PBL成果発表会」を下記の通り開催し、関連教員から、採択された各取組(科目)に関する成果及び実施予定内容の詳細について報告いただきました。成果発表会における報告や質疑応答を通して、本学の優れた教育手法に関する情報の全学的な共有化や、授業改善に資する一助となったことからも、来年度もPBLに関する教育への支援を行っていく予定でおりますので、教員各位におかれましてはご協力の程宜しくお願い致します。
記
日 時:平成24年3月2日(金)13時~16時45分
場 所
【神田】7号館1階丹羽ホール
【鳩山】本館3階第二会議室
【千葉】研究棟2階会議室
出席者数
【神田】36名
【鳩山】12名
【千葉】2名 合計:50名
来賓者:工藤 一彦 先生(芝浦工業大学 学長室教授)
平成22年度「文部科学省大学生の就業力育成支援事業」へ本学取組が採択されたことや、大学設置基準の一部改正に関連して、関連学部においては、平成24年度よりProblem-Based Learningを主体とした2年次科目「キャリアワークショップ」、また平成25年度よりProject-Based Learningを主体とした3、4年次科目「TDUプロジェクト科目」がキャリア科目として開講される。
既に、キャリア科目以外の一部科目においてはPBLを取り入れた講義が実施されているが、より効果的に、PBL講義の実践と成果を全学に周知・拡充していくことを目的として、取組科目(開講予定科目を含む)に対する支援として、経費(1件あたり10~20万円)を教育改善推進室より交付した。
*解説*
PBL(Problem-Based Learning, Project-Based Learning)教員等から、open-endedな問題または課題を学生に与え、少人数グループを編成し学生主体で問題・課題解決を行う教育手法。担当教員はファシリテーターとして授業を進めていく。
欧米の大学では広く普及し、国内大学においても急速に普及しつつある。
採択取組(科目)、発表者及び発表順については、以下の一覧の通り。
なお、発表は「一人10分+質疑応答5分」として実施した。
発表者(敬称略) | 所属学部学科等 | 科目名 | 配当年次等 |
---|---|---|---|
①安田 浩 | 未来科学部情報メディア学科 | 情報ゼミ | 3年後期必修、2単位 |
②高橋時市郎 | 未来科学部情報メディア学科 | CGプログラミング(アニメーション) | 3年後前期選択、2単位 |
③斎藤 博人 | 情報環境学部情報環境学科 | ディジタル信号処理 | 後期選択、3単位 |
④木村 敦 | 情報環境学部情報環境学科 | 社会心理学 | 後期選択、3単位 |
⑤遠藤 義則 | 情報環境学部情報環境学科 | 建築CAD演習 | 後期選択、4単位 |
⑥広石 英記 | 工学部人間科学系列 | 総合演習 | 3年通年選択、2単位 |
⑦櫻井 拓也 | 工学部英語系列 | 総合英語Ⅳ | 2年後期選択、1単位 |
⑧定松 宣義 | 工学部情報通信工学科 | ワークショップⅡ | 1年後期必修、2単位 |
⑨坂本 直志 | 工学部情報通信工学科 | 情報通信プロジェクト | 4年通年必修、3単位 |
⑩吉田 俊哉 | 工学部電気電子工学科 | プロジェクトワークショップ | ※H24年度試行、H27年度開講予定。 4年通年、必修(予定) |
⑪榊原 洋子 | 理工学部電子・機械工学系 | キャリアワークショップ※学部共通、キャリア科目 | 2年通年選択、2単位 ※H24年度開講予定 |
【PBLを導入した主な成果】
・グループ学習の実践により、コミュニケーション能力(他者への説明、プレゼンテーション)を体得させることや、他人を評価する機会を与えることができた。
・チームを組んで問題解決を成し遂げた達成感、主体的な取組、使命感・責任感を学生が得ることができた。また、自分に対する自信、自分の才能への気付き及び才能を磨こうとする意欲も得ることができた。
・科目を担当する教員の役割として、①誉める、②進捗管理を学生に促す、③全体的な目配りが必要であることを知り得た。
・他者と協力し、問題を発見し、課題探求のために文化を習得し、議論を深めるPBLは、キャリア教育・シチズンシップ教育の目標である【未来に向って他者と共に積極的に、よりよく生きる】共生の見識や市民性の獲得が期待できる。
【今後に向けた主な課題等】
・学生への問題提示が、教員の専門分野に偏る傾向がある。
・「3人×3チーム」に対して、「教員×2+TA×1」でやっと対応できたことから、関わる教員等(大学院生のTAを含む)の人数が必要。
・授業時間外に自発的に取り組む授業への発展させることが課題。
・チーム学習を支援する環境作り(場所やスタッフ等)が必要。
・自律的学習への学生の意識改革を組織的に支援する必要がある。
・主体的学習は、時間制限を容易に超えるため弾力的運用が必要である。
・アウトプット(制作物・プレゼン)だけではなく、学習プロセスの評価が大切。
・学習成果を可視化するために評価基準(ルーブリック)が必要である。
・「自己評価機会」を設けることが必要である。
・「教える」ことに慣れた教師に「学びの支援者」としての意識改革や、必要なスキルの獲得は、実践を通した反省が最も有効である。
・各科目とも緻密な設計がなされ、反省点も含まれて今後が期待できる。
・専門科目における試みがあったのが良かった。
・今後は、何の能力を育成するために実施をするのかといった具体的な目標設定を立てる必要があり、そのためには教員と学生が協力することが不可欠である。
・4年間の全カリキュラムを経て卒業した際のアウトカムズの中で、PBLがどの程度役立つものであるかを検証する必要がある。また、育成すべき能力のどの部分をPBLが占めるのかを認識する必要がある。
・毎年の反省と経年でのマンネリを防ぐ必要がある。
・PBLに役立つマニュアルは無いが、効果を上げるための仕掛けは何らか必要である。
本発表会における、発表者のプレゼンテーション資料並びに工藤先生のレジュメ(『PBLのカリキュラムへの導入法と実施のヒント』)の資料請求や、その他教育に関するお問合せについては、以下の連絡先までお気軽にご連絡下さい。
メールアドレス: oed@jim.dendai.ac.jp
内 線:6401(東京千住キャンパス)
以上