第68号　「若き技術者に贈る」

　卒業式の季節となりました。顧みますと私は、昭和33年に本学電気通信工学科（今の情報通信工学科）を卒業してすでに半世紀以上がたちました。当時の学長は丹羽保次郎先生で、卒業を控えた私たちにむけた「若き技術者に贈る」という特別講義がありました。
　丹羽先生は日本を代表する技術者で、先生のお言葉である「技術は人なり」は本学の教育・研究理念になっています。先生は当時学生の我々には雲の上の存在でした。しかし先生は、ご自身の技術者としてのご経験を踏まえた説得力のあるお言葉で、社会で働く理想と現実、良い技術者の条件、技術生活やその苦楽、最後に卒業生に望むことを語られました。世界の著名な技術者の言葉やさまざまな事例を紹介しながら、大変分かりやすい講義で、その内容は今日、読み直してもまったく古くなく、大変感銘をうける内容と感じます。
　丹羽先生の思いを継ぐ本学卒業生には、ぜひ先生のお言葉を胸に刻んで、社会に羽ばたいてほしいと思います。

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