小林浩名誉教授による地球温暖化の根本的な解決策を提案する論文がエネルギー・資源学会論文誌に掲載

2022.11.10

2023.11.24 更新

本学の小林浩名誉教授が、パリ協定の目標(気温上昇を産業革命前より1.5℃未満に抑える)達成のための具体的な解決策についてまとめた論文が、エネルギー・資源学会論文誌に掲載されました。

この研究は、(1)世界の一次エネルギー需要量を満たす十分な電力を再生可能エネルギー(再エネ)資源から生産する、(2)変動が大きな再エネ由来電力を燃料アンモニアに変換し地球規模で供給することに焦点を当てたものです。
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媒 体:エネルギー・資源学会論文誌 43巻(2022)6号

論文名:浮体式洋上太陽光発電と水素エネルギーキャリアを用いたカーボンフリーエネルギー供給システム -気温上昇1.5℃未満のパリ協定目標達成を目指して-, 2022, Vol. 43, No. 6, p. 274-284.

要旨
地球温暖化の脅威が迫っている。しかしながら、地球規模での根本的な解決策は未だ示されていない。
全天日照量が豊富で広大な南北緯度30°内の赤道海域の沿岸(日本は宮古島から南硫黄島)沿いに、浮体式洋上太陽光発電プラント(FOPV)を分散設置(総設置面積:赤道海域1.6億㎢の約1%)し、日本と世界の一次エネルギー需要を満たす十分な電力を生産する。生産した再エネ由来電力で化石燃料に代わる燃料アンモニア(NH3)を合成・備蓄(4~6か月分)し、電力系統をはじめとする様々な供給先にカーボンフリーエネルギーを、24時間365日安定かつ安価に供給する。
並行して、大気中に数千年にわたって大量に滞留しているCO2を330億トン/年の割合にに回収・除去し続ければ、パリ協定の目標達成を2050年頃には見極められる可能性がある。
これまで化石燃料に依存してきたエネルギー分野は、FOPVやNH3、超伝導体送電などの導入によるカーボンフリー化によって、世界に大きな変革をもたらすことになろう。