先端機械工学科・三井教授が独自開発したEAMブレーキデバイスを搭載 片麻痺患者リハビリ用支援装置「RoboChemia® Gs Knee」が製品化

2019.03.11

報道関係各位

東京電機大学・工学部先端機械工学科・三井教授が独自開発した
EAMブレーキデバイスを搭載
片麻痺患者リハビリ用支援装置「RoboChemia® Gs Knee」が製品化

学校法人東京電機大学

東京電機大学(東京都足立区・安田浩学長)工学部先端機械工学科の三井和幸教授と研究室所属の学生達が開発した「EAMブレーキデバイス」が、同研究室と共同研究をしている藤倉化成株式会社(東京都港区・加藤大輔代表取締役社長)の新製品に採用されました。
製品は、「RoboChemia® GS Knee(ロボケミア・ジーエス ニー)」で、脳血管疾患による片麻痺患者の早期リハビリテーション向けの歩行練習を支援する「電子制御膝ブレーキ」です。従来の装具は、膝関節を固定した状態で使用するため、利用者は常に膝が伸びた状態となり、リハビリにより不自然な歩行を習得することになっていました。「RoboChemia® GS Knee」は、一般的な長下肢装具の膝継手に取り付けるだけで、自然な歩行が可能となり、リハビリテーションにおいて不自然な姿勢や体重移動などによる身体的負担を軽減できるようになりました。
近年の脳血管疾患の総患者数は約111万5千人※1であり、多くの場合、治療後も片麻痺が残るため、早期の歩行練習が推進されています。そこで、片麻痺患者の早期リハビリテーションにおける歩行練習で使用することを目的として、独自開発した「EAMブレーキデバイス」を搭載した長下肢装具の開発および製品化を藤倉化成株式会社と行い、今回、製品に採用されました。

(※1) 厚生労働省 平成29 年(2017)患者調査の概況より

■三井研究室が開発した機能性材料「EAM」を使用した「EAMブレーキデバイス」を搭載
世界に先駆けて三井研究室が開発した新材料「EAM(Electro Attractive Material:電気的吸引材料)」は、与える電圧の大きさで摩擦が変化するシートです。EAMを円形の電極ではさみシャフトを通すことで、電圧で抵抗トルクを調節することができる「EAMブレーキデバイス」を独自開発しました。これを用いることで、理学療法士(セラピスト)が手元のハンドスイッチで、利用者に合わせて立脚時は膝を固定、歩行時は膝を自由に屈伸する制御が可能になり、自然な歩行練習を実現することができるようになりました。

図1. RoboChemia® GS Knee(白い装置)着用図

図2. 「電子制御膝ブレーキ」の構成

図3. 「EAMブレーキデバイス」の基本構造

EAMを使用することで、従来のリハビリテーション用歩行支援ロボットに比べ小型で軽量、さらに省電力化を実現しました。重量は約600g、最大固定力40Nmで長時間駆動することが可能です。
また、下肢装具業界のトップシェアを誇る川村義肢株式会社の長下肢装具に装着が可能。リハビリ施設では既に保有の長下肢装具に装着ができるため導入費用は不要です(装着のための器具は別途購入が必要)。千里リハビリテーション病院(大阪府箕面市)および医療面での支援をお願いしている国際医療福祉大学の山本澄子教授が関係するいくつかの施設では、既に試験的に実用化されています。

「RoboChemia® GS Knee」は3月18日に東京ビッグサイトで開催される「Medtec Japan 2019」の本学ブースに出展いたします。

なお、本装置の開発の一部は、平成27~29年度文部科学省私立大学戦略的基盤形成支援事業(S1512001)、及び文部科学省「平成29年度私立大学研究ブランディング事業(世界展開型)」の研究費により支援頂きました。

<取材に関するお問い合わせ先>
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