2018.11.01
10月4日に、東京東信用金庫と包括連携協定の調印を行いました。私は金融機関を含む産学官連携と捉えていましたが、東京東信用金庫の中田清史理事長が挨拶の冒頭に「産学官金の連携」と述べられたのを聞き、衝撃を受けました。金融機関も産業の一部とぼんやり考えていましたが、それは大きな間違いということに気づいたからです。
私は25年間、日本電信電話公社の電気通信研究所に勤務し、多くの電子・通信機器会社との共同研究・連携活動を行ってきました。電電公社の研究所はどちらかというと「官」ではなく、「学」の雰囲気であったので、この時代の企業との対応は産学連携と言えるものであったと思います。民営化されてNTTとなっても、「産」ではなく「学」の性格を保ち続けていました。1990年代頃から「官」、特に総務省・経済産業省の指導による産学官の研究連携が盛んとなっても、省庁とNTTとの連携には産業がすぐに参加し、産学官連携は積極的かつ円滑に行われていました。
NTTから大学に移り、正に「学」に身をおくようになってから、産学官連携活動に異変が生じました。研究項目はふんだんにあり、産も協力的でしたが、研究費がないとの現実に直面したのです。競争資金の獲得を多く試みるも、こちらのやりたい研究テーマに合った資金元がないのです。多少関連のある競争資金に応募して研究費を得るのですが、自分のやりたいことは結局ほとんどできず、別の目的の研究結果を執筆することに時間がかかってしまいました。
中田理事長の「産学官金」の言葉を聞いて、なぜ今まで苦労してきたかが腑に落ちました。スポンサーの選び方が間違っていたのです。我々は最先端といえども実学の研究を行っているため、使えるという観点に力点を置くスポンサーでなければ2人3脚は組めないのです。中田理事長は、こちらの目的に合う共同研究者を探してくれると言われました。包括連携協定の調印を終えて、産学官金連携の大きな飛躍を夢見はじめています。
☆☆☆学長メッセージ 第17号(2018.10.20)☆☆☆
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